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あなたの稼ぐ力はおいくらほどか?!【人的資本論をサラリーマンに適用】

自分自身を資本として労働市場に投資し、リターンとして年収を得ている、という考え方があります。

資本家が1億円を金融市場に投資し、リターンとして年5%の利益500万円を得ている、というのと同じだってことです。

こういう考えを人的資本論というのですが、今日はこの人的資本論について考えてみます。

人的資本論

橘玲(たちばなあきら)さんという作家の本を読んでいると、いろんなところで人的資本論という言葉が出てきます。

最近の著書「幸福の「資本」論」から紹介します。

ノーベル賞学者の人的資本理論

ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者ゲーリー・ベッカーは、ひとはそれぞれ「人的資本(ヒューマン・キャピタル)」を持っており、それを労働市場に投資して日々の糧となる収益(給料)を得ているのだと考えました。

引用・・・・橘玲著 「幸福の「資本」論」

資本家金融資本1億円を株式市場に投資し、リターンとして年5%の利益500万円を得ている。」

労働者人的資本1億円を労働市場に投資し、リターンとして年5%の収入500万円を得ている。」

これらは同じだってことです。

金融資本を金融市場で運用するか、人的資本を労働市場で運用するかのちがいはあれ、誰もが一人の投資家=資本家だ。投資家が人的資本と金融資本を同時に運用していたとしても(働きながら株式投資をしていたとしても)、なんの不思議もない。

引用・・・橘玲著 「残酷な政界で生き延びるたったひとつの方法」

  • 1億円持ってて不労所得を得ている人
  • 働いて労働所得を得ている人

両方とも投資家としては同じだけど、投資しているものが違うんですね。

サラリーマンの人的資本を計算してみた

またまた「幸福の「資本」論」から引用します。

一般的なサラリーマンは、どれほどの人的資本を持っているのでしょうか。

細かな計算式を省いて結論だけいうと、生涯年収3億円(年収は入社時250万円、65歳定年で退職時1300万円、退職金3000万円)の標準的なモデルで、リスクプレミアム(会社が倒産したり、病気になって収入を得られなくなるリスク)を加えた割引率を8%とした場合、社会人になったばかりの若者の人的資本は約5500万円になります。

引用・・・・橘玲著 「幸福の「資本」論」

この条件で実際に計算してみました

年収モデル

「生涯年収3億円(年収は入社時250万円、65歳定年で退職時1300万円、退職金3000万円)の標準的なモデル」の年収推移は↓こうなります。

年収モデル65歳で退職金3000万円をプラス。66歳では年収をゼロにしている。

ではこの年収モデルのサラリーマンの人的資本を計算してみましょう。

この人的資本というのは、分かりやすく言うと給与所得を得ているあなたの値段です。今の給料と将来もらえるであろう給料から計算するのです。

人的資本の金額
人的資本これが給与所得者であるサラリーマンの人的資本の金額だ!

計算すると大卒入社1年目23歳で5,536万円となりました。

「社会人になったばかりの若者の人的資本は約5500万円になります。」という記述とだいたい合ってます。

追記

統計データを使って、実際に近い年収モデルからも人的資本を計算してみました。
あなたの稼ぐ力はおいくらほどか?!【現実的な年収から人的資本を計算】

若者はまさに体が資本

23歳で自分の人的資本が5,500万円、5年後の28歳だと6,400万円です。

このころって、まぁだいたいお金(金融資産)なんてほとんど持ってないのが普通で、5,000万円や6,000万円なんて想像もつかない世界の話なわけです。

まさに体が資本、23歳の若者なら自分の人的資本5,500万円を労働市場に投資して、年収250万円とかを得るわけです。(5,500万円には将来的にこのくらいもらえるはずだ、ということも加味されています。)

必要なのは”自分の市場価値を高めて高く買ってもらう”こと。

給与所得者になるなら、

  • 学生なら、いい大学を出て高給のとれる企業に就職する。
  • 社会人なら、資格を取ってより高いポジションを目指す。

というような話になりますね。

人的資本若いうちは人的資本をがんばって上げる

人的資本のピークは50歳

年収の上昇に合わせて自分の人的資本も上昇していきますが、50歳くらいでピークを迎えてその後は下がっていきます。

そうです、65歳の定年を最後に収入が途絶えてしまうので、自分の人的資本もある年齢から先は減少に転じます。

ともあれ働き盛りの30代~50代は自分の人的資本が上昇している真っ最中であり、家族からも大事にされることでしょう。

仕事は忙しいけどサラリーマンとしては一番幸せな時期なのかもしれません。

定年を迎えると一気にゼロ円に転落

定年が見えてくる50代後半から人的資本がどんどん減少します。

そして65歳で退職金を受け取って退職したら、サラリーマンとしての人的資本はゼロ円となってしまいます。(ここでは人間性などの価値は全く考慮してませんので・・・念のため。)

  • 稼ぎがなくなった
  • しかもずーっと家にいる

あぁ妻のストレス、熟年夫婦の危機・・・なんてことにならないよう、30代~40代のころから生き方を考える必要がありますね。

途中で失職すると厳しい

例えば勤務先でリストラがあり、55歳で割増退職金をもらって早期退職に応じるとしましょう。

この時の人的資本は9,400万円くらいです。

前職と同じような条件で転職先が見つかればいいですが、多くの場合そうはいかないでしょう。

極端かもしれませんが、55歳から年収300万円の職につくことができて65歳まで働くとすれば、この時点でのあなたの人的資本を計算すると2,300万円です。

この差7,100万円を、前職の割り増し退職金で埋めることができるなら帳尻があうのですが・・・・。

人的資本途中で失職するといろいろ厳しい。

いわゆる、会社にしがみつくというのも理解できますな・・・。

人的資本以外の資本を蓄えておこう

人的資本が主である(金融資産をほとんど持っていない)若いうちから、コツコツと金融資産を蓄えておくべきですね。

中年以降になって人的資本しかありません!(全然貯金できていません)となると、予想しない失職に遭遇するとタイヘンです。

また、定年後の人生も長いのです。

  • 積み立て預金、財形貯蓄
  • 積み立ての投信信託、確定拠出型年金
  • などなど・・・

勤務先の制度などもうまく利用して、いい歳のおじさんになったころにある程度の金融資産を持てるようにしましょう。

投資信託や確定拠出型年金が何なのか?ということを、勉強して身につけておくことも大事でしょう。

その他には社会資本ですね。いわゆる人とのつながりです。

人的資本、金融資産、社会資本を考えながらどう生きるか、という話は「幸福の「資本」論」に詳しく載っています。

最後に

あくまでも給与所得者としての人的資本の話でした。

仕事のやりがい、家族との絆や友達との友情、持っている金融資産など考慮すべきことはたくさんありますので、実際の事情はもちろんそれなりに複雑ですね。

幸福の3つのインフラ「金融資産」「人的資本」「社会資本」をどう組み合わせて生きていくか?!

伽藍を捨ててバザールに向かえ。恐竜の尻尾の中に頭を探せ。と説く自己啓発の書?!